デレク・ジャーマンの庭が好きで、田舎の河原で拾い持ち帰った石を裏の庭に置いてみたりしている。
でも、うちの庭は向かいの家との間のほとんど日陰の庭だから、実際は「苔の庭」だ。
それでも最初は雑草の庭だったから、今の苔の庭状態にするまでには、結構時間がかかった。
別の種類の苔が生えてくるのを何度も地面から剥いで、増やしたい苔を自然に均一に増やそうと気長に試みてきた。
見ているとそれは 対立する苔の勢力図に見えなくもない。
その繰り返しの成果もあって、だいぶ統一感が出てきた庭になったと思う。
そんな庭も 雑草が増え始める直前の今くらいの季節が、一番ほど良く心地よい。
生活の中に欲しいのは、ゾクゾクする感じ。
デレク・ジャーマンの庭のカラッとした不思議な感じ。あの感じは、どこからくるのだろう。
写真家・高橋恭司がその庭を撮った写真が収まった著書のタイトルを『WOrld`s End』と名付けたのは、確かにピタッとくる。
驚きだとか感動ではなく、ごく自然なものの中にそれは現れる。
派手さはなく、わかりやすさもない。
でもその「物」や「場所」に自然と時間とが混ざり合って、そこにちょっとだけ人の手が加わったときに、人を惹きつける何かになったりもする。
そしてそれも、いずれ朽ち果てていく。
なんか、いいねえ。
下は、息子が図工の時間に作った版画。
それまで奈良に行ったわけでもなく、なんで仏像を彫ったのか理由は知らないけど、僕は好きなので床の間の壁に貼っている。
そうさ、いつだって、諸行無常。