前回に「水島新司」の名前を出したら、いろいろ記憶が蘇ってきた。
小学生の時、古紙回収で掘り出されていた『ドカベン』5冊くらいをもらって帰って、それだけを何度となく読んだ。里中が投げられない頃で優勝旗が盗まれたエピソードの辺り、そこだけを何遍も何遍も。田舎育ちでお小遣いも限られて本が簡単に買えなかったから、本に限らず物はとても大事にした。
実際に野球することは嫌だったけど、水島新司の描く野球は読んでて楽しかった。
今振り返れば、何がすごいって、山田太郎の目が横線シャシャシャの黒だけっていうのがすごい。普通、主人公が持っているギラギラ感がない。
山田太郎の個性が控えめだから、他のキャラクターが見えてくる。殿馬、岩鬼、里中、土井垣、微笑三太郎、石毛、あとライトのメガネをかけた人。35年以上前のことだから、それ以上は思い出せないけど。でも、それって案外すごいことのような気がする。
水島新司の核は、それなのかもしれない。
自分にとっての水島新司は、『ドカベン』と『あぶさん』、この2つです。
人は生きてれば歳をとって、あげく死ぬんだから、それは仕方がない。
寂しいのは、時代が変わっていくことだ。その作品の感覚が忘れられていくこと。
波を乗り越えた作品は次にも残るけど、世代を超えてわかち合うことは難しくなる。
それが寂しい。
時間は誰にも平等に止まらない。みんな残らず、同じ思いをするのだから、ま、いいか。
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今朝は行先が決まらず、外に出てからもウロウロして、結局いつも通り京阪電車に乗り河原町三条から歩き出す。
9,091歩歩いて、137カット撮影。もう本当に終盤、なのに踏ん切りがつかない。