日な日な余波ははなやか歩く

週1~2回くらいのペースで、ここで写真展をやってます。「繰り返し」と「凡庸」は写真と人生の本質です。

何年かぶりの、病床を楽しむ。1




3月6日、インフルエンザA型と診断され、翌日から会社を休み平日の昼間っから布団の中。

家族といっしょの寝床を離れ、せまい自分の部屋でウトウトする。
そういえば、いつかの仕事中、
「ああ、できることなら日がな一日、布団の中でうとうとしながら、だらだらすごしてみたいなあ」と妄想していたのが、現実になったわけ。それはそれで、貴重な時間。

ふと目が覚めて、本棚に手をのばし、むかし妻が買っていた手塚治虫の『上を下へのジレッタ』を読みはじめる。
これが、頭痛に苦しめられながら読むような内容ではなかったのだけど、休み休みしながら、読みきる。

方向感覚を失うような、先の読めない物語に「ジレッタ」というのは、この作品そのものではないかと思う。
なんてすごいマンガなんだと恐れ、手塚治虫という作家の底知れない力に、何度でも打ちのめされる。

息抜きにと、森山大道『写真から/写真へ』を拾い読みしたり、尾仲浩二の写真集『スローボート』を眺めたりする。

のどの痛み、頭痛、吐き気もおさまり、3日めの今日は感染予防のための欠勤となった。
病の苦しみを逃れてしまえば、外出する必要も欲求もないぶん、逆に自由な気分になる。

外は雨。

上を下へのジレッタ 完全版

上を下へのジレッタ 完全版