3月6日、インフルエンザA型と診断され、翌日から会社を休み平日の昼間っから布団の中。
家族といっしょの寝床を離れ、せまい自分の部屋でウトウトする。
そういえば、いつかの仕事中、
「ああ、できることなら日がな一日、布団の中でうとうとしながら、だらだらすごしてみたいなあ」と妄想していたのが、現実になったわけ。それはそれで、貴重な時間。
ふと目が覚めて、本棚に手をのばし、むかし妻が買っていた手塚治虫の『上を下へのジレッタ』を読みはじめる。
これが、頭痛に苦しめられながら読むような内容ではなかったのだけど、休み休みしながら、読みきる。
方向感覚を失うような、先の読めない物語に「ジレッタ」というのは、この作品そのものではないかと思う。
なんてすごいマンガなんだと恐れ、手塚治虫という作家の底知れない力に、何度でも打ちのめされる。
息抜きにと、森山大道『写真から/写真へ』を拾い読みしたり、尾仲浩二の写真集『スローボート』を眺めたりする。
のどの痛み、頭痛、吐き気もおさまり、3日めの今日は感染予防のための欠勤となった。
病の苦しみを逃れてしまえば、外出する必要も欲求もないぶん、逆に自由な気分になる。
外は雨。
- 作者: 手塚治虫
- 出版社/メーカー: 実業之日本社
- 発売日: 2008/10/17
- メディア: 単行本
- クリック: 2回
- この商品を含むブログ (13件) を見る