日な日な余波ははなやか歩く

週1~2回くらいのペースで、ここで写真展をやってます。「繰り返し」と「凡庸」は写真と人生の本質です。

降っても晴れても、その11。 

f:id:sakakazupics:20200502135538j:plain 

 

f:id:sakakazupics:20200502135557j:plain

 

ロバート・フランク 『 good days quiet 』が届いた。

品切れの一歩手前だったかもしれない。 間に合った感がある。

実物を手にすると、写真集としては小さめだけど、印刷と製本の方法はどこででもあるものではなくて面白い。

 

僕は普段、印刷機のオペレーターでメシを食っているので気になるのだけど、ここまでマット墨のインキを生かした本は、他であまり見たことがない( 印刷では黒のインキは黒よりも濃度が濃いので、墨と呼ばれています )。

きっと、紙とインキの相性も良いのだろう。

 

印刷面をルーペで覗いてみると、網点はグレーと墨のダブルトーンで、これはモノクロ写真の製版としてはめづらしくはないが、網点は通常のものではなく「チェーンドット」という種類で製版されているように見える。実物は初めて見た。

 

表紙に至っては黄色の特色が先に刷られ、マット墨のインキがその上に乗っているように見える。つまり通常の色の刷り順とは逆に刷ってあるらしい。工夫されている。

当然、ニス加工もしてあるだろう。マットニスで。

 

糸かがり綴じは、あまりめづらしくはないのかもしれないけど、表紙と中身の紙が別にしていないというのは案外めづらしい。

そっけない本の雰囲気にケース( これも簡素 )がつくことによって、デザインのバランスが保たれているように思う。

 

別に関係はないけど、この本は独特の匂いがする。

紙かインキのどちらかが要因しているのだと思う。

それはともかく、ロバート・フランクの写真の雰囲気をうまく演出していて、感激する。

そっけないように見えて、最大の効果を発揮する、どんな分野であろうと、そういうやり方は好きだ。

で、そういうことは実物を手にとってみないとわからない。

 

僕は普段の時間は仕事から離れたいと思っているのだけど、この本を目の前にしたら気にせずにはおれなかった。 決して仕事熱心な人ではありません。ですから、先に書いたことが間違った情報だったら謝ります。

 

いくつかあたって、最終的にPOSTという本屋さんで初めて購入することになったのだけど、包みの中には丁寧な直筆の手紙も同封されていて、嬉しい限りです。

ありがとうございます。

 

f:id:sakakazupics:20200502135613j:plain

 

f:id:sakakazupics:20200502135633j:plain

 

f:id:sakakazupics:20200502135650j:plain

 

f:id:sakakazupics:20200502135705j:plain