ロバート・フランク 『 good days quiet 』が届いた。
品切れの一歩手前だったかもしれない。 間に合った感がある。
実物を手にすると、写真集としては小さめだけど、印刷と製本の方法はどこででもあるものではなくて面白い。
僕は普段、印刷機のオペレーターでメシを食っているので気になるのだけど、ここまでマット墨のインキを生かした本は、他であまり見たことがない( 印刷では黒のインキは黒よりも濃度が濃いので、墨と呼ばれています )。
きっと、紙とインキの相性も良いのだろう。
印刷面をルーペで覗いてみると、網点はグレーと墨のダブルトーンで、これはモノクロ写真の製版としてはめづらしくはないが、網点は通常のものではなく「チェーンドット」という種類で製版されているように見える。実物は初めて見た。
表紙に至っては黄色の特色が先に刷られ、マット墨のインキがその上に乗っているように見える。つまり通常の色の刷り順とは逆に刷ってあるらしい。工夫されている。
当然、ニス加工もしてあるだろう。マットニスで。
糸かがり綴じは、あまりめづらしくはないのかもしれないけど、表紙と中身の紙が別にしていないというのは案外めづらしい。
そっけない本の雰囲気にケース( これも簡素 )がつくことによって、デザインのバランスが保たれているように思う。
別に関係はないけど、この本は独特の匂いがする。
紙かインキのどちらかが要因しているのだと思う。
それはともかく、ロバート・フランクの写真の雰囲気をうまく演出していて、感激する。
そっけないように見えて、最大の効果を発揮する、どんな分野であろうと、そういうやり方は好きだ。
で、そういうことは実物を手にとってみないとわからない。
僕は普段の時間は仕事から離れたいと思っているのだけど、この本を目の前にしたら気にせずにはおれなかった。 決して仕事熱心な人ではありません。ですから、先に書いたことが間違った情報だったら謝ります。
いくつかあたって、最終的にPOSTという本屋さんで初めて購入することになったのだけど、包みの中には丁寧な直筆の手紙も同封されていて、嬉しい限りです。
ありがとうございます。