日な日な余波ははなやか歩く

週1~2回くらいのペースで、ここで写真展をやってます。「繰り返し」と「凡庸」は写真と人生の本質です。

川田喜久治 『地図』その2






『地図』 復刻版 2005年3月31日初版発行 月曜社

ブックケース 240×160×30mm
本体 118ページ
冊子、テキスト 川田喜久治『「しみ」のイリュージョン』

写真家本人によるテキストの冒頭、『広島に原爆が投下されて十数年が過ぎたころ、原爆ドームの地下天井裏にどこからともなく現れた黒く巨大な「しみ」。その「しみ」を見てしまった私は、夜ごと夢の中でさらなる恐怖の感覚を充満させていった。』

その「しみ」や「物」の写真のページが続く中、突如人の顔が現れるとドキリさせられる。特攻隊員の遺書と遺影の写真。怖い。
写真集の全体を覆っている黒の闇のイメージの中には、見えない「何か」がモソモソ動いているよう。
現場写真とは違った間接的なイメージが、原爆の恐ろしさを違ったかたちで表している。これは写真のお手本としての本では全くない。単なる写真好きの人間には荷が重すぎる。それだけでは済まされない感じにさせられる。でもそれが写真(または写真集)の可能性のひとつだということも表わしている。それを読み手はどう受け取るか。