日な日な余波ははなやか歩く

週1~2回くらいのペースで、ここで写真展をやってます。「繰り返し」と「凡庸」は写真と人生の本質です。

本を作る。その3






1枚の写真には、いろんな要素は集約されている。

息子が写っているからといって、息子の心情に沿った写真になっているとは限らない。単に幼い子どもの姿形、形状に惹かれて撮った写真かもしれない。往々にしてその時間を撮る撮影者側の意思というのは、ひとつの言葉では語れないものだ。ましてや写真はその時間の経過の仕方によって、いくらでも変化していく。

写真集『山と子ども』のモチーフを、まったく別の形に表すのも写真を見せる方法としては「あり」なのではないかと思った。

2012年の写真集と2017年の写真集をひとつのケースに収める。同じモチーフを、「違う撮り方」、「違う構成の仕方」、「違うタイトル」で同時に見ていただく。そこに意味はあると思う。あとは面白いか、面白くないか、だけ。

2017年の本のタイトルは『常識と自然』。堅苦しいタイトルには思うが、今の自分の写真を表す最良の言葉だと思う。

「常識」と「自然」、同じ物差しでは計れない言葉の微妙な関係性を表している。