1.
初冬の朝。寝床の部屋の窓ガラスにたまる結露を拭き取るのが日課。
近頃は、この窓辺に過去の写真を立てかけて複写している。
2.
過去にプリントしたキャビネ判の写真を整理する。『息子』、『植物』、『近い風景』、『過去の展覧会の記録写真』。
時間が経過した写真を見直すと、選んでいる自分の中に新たな基準が作られ、昔とは違った1枚が見えてくる。そうして今の自分の心にひっかかってくる写真を選び出す。
森山大道風に言えば、写真がアノニマス(作者不詳)に向かっている途中なのだと思う。その1枚の写真と自分自身に距離ができるということだ。個人的な感傷が無くなってこそ、写真の本質に近づくという考えに自分も同意する。そういうところで自分も写真に関わりたいと思うし、それが写真の面白いところだと思う。
3.
雑誌SWITCH(1992年9月号)にて、繰上和美氏が撮影したロバート・フランク。テーブルに置いた本を撮影している図。2.の写真を撮っている時に、この写真を思い出したので本棚から引っ張りだし、撮ってみた。
4.
午後、息子と二人で出かける。今日は高校駅伝の全国大会が行われている。白川通りはそのコースのひとつになっている。バス停でバスを待っている間に、造形大の校舎のひとつ『青窓館』にレンズを向けて撮ってみる。思い出深い場所の写真。
5.
そしてやってきたバスに乗り込み、折り返してきた駅伝走者を車窓から撮る。