昨日の午後は、久しぶり東寺界隈を撮る。
自分の生活圏外だから風景に馴じみはない。
20代の頃「みなみ会館」に映画を見に行ってはいたが、それくらい。
みなみ会館は渋めの映画を観れるから好きだった。
写真を撮り始めてからというもの、映画館からは縁遠くなった。
みなみ会館は今では場所も変わり新しくなったらしい。
今日の午前にビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』を観たのだけど、そういえば、このみなみ会館でその後の作品『マルメロの陽光』を観ている。
肝心な代表作を観てなくて、後先が逆になってしまった。
映画『ミツバチのささやき』は、とても良かった。
余分なトリックがないから、見る側の想像力は膨らむ。
画と画のつなぎ合わせで、事の次第を理解する。
女の子「アナ」を見入ってしまう。
とくに、今の自分の気分とリンクしたのは、薄暗い青の画面。
映画ではあのような色が存在する。不思議に写真で見る色合いとは違う。
古い家の壁やドアと、灰色に広がる空、それと広い土地。
単調ながらも時間の深みがある。
画と言葉で映画は表現されるから、あのような色合いが成立するのか。
35ミリだろうけど、自然光を生かしたフィルムの粒子の荒さがそうさせるのか。
フィルムが持っていた特性は一体どんなものだったのか、実感として今はもう忘れ去られようとしている。
過去の映画による成果を見ることはできても、今から可能性を試されることはないだろう。
本来、映画を作るというのはいつだって新たな試みだから、もう二度と再現できないけど、何故かその時にはできてしまったということもあったはず。音楽のセッションみたいなことが。
でも冷静に考えれば、それがビクトル・エリセの作風であり、画の中に署名が刻み込まれているということか。静けさだけではないわけだ。
このところ自分の関心ごとと、見るものがリンクしている。
なんだか巡り合わせが良くて、刺激的だ。
調子がいい今のうちに、できる限り勉強しとこうと思う。