このごろ、ここで書いている言葉は、自分でも判別できない、うわ言のような言葉をぶちまけているのかもしれない。
元々、はじめから価値ある言葉などはなく、人それぞれが日々どう暮らしているかで、その言葉は輝いたり色あせたりするものだと思う。
ただ人の社会というのは限定的なものだから、使われる言葉の方向と範囲は限られる。
特にそれが善と悪の範囲だけで判断されるのは、つまらない。
もっと違う何かがあってこその想像力だという気がする。
当たり前を考え直す必要がある。
自分の中の当たり前を見渡せば、きっと発見はある。
そこで自分の中の「ものさし」さえ見つければ、俗物にはならずに済む。
自分の核となるものが空っぽのまま、先に進んでも仕方ない。
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先日、無性にビートルズの『ゲットバック』が聴きたくなって、ずっと前から買うかどうか迷っていた『レットイットビー 』のアナログを探していたその途中に映画『ファントム・オブ・パラダイス』のサントラレコードを見つけた。こういうものはタイミングだ。これを逃したら次、いつ出会えるかわからない。
Amazonでは味わえないワクワク感。これは買わざるをえない。
高校生の頃、この映画『ファントム・オブ・パラダイス』を深夜のTVで録画して、観て、そして熱狂した。
魚眼レンズで撮った画面いっぱいに、怪人の銀のマスクが迫ってきて、直後、テレビ(だったと思う)を投げつける場面が、めちゃめちゃカッコ良かった。記憶が定かではないが、たしか、そんな感じだった。10代の自分にはあういう映画は、謎で、とても魅力的だった。
善と悪の鬩ぎ合い。外見は悲劇なのに、いい感じに狂っている、あの感じ、今の時代ではもう表現できない気がする。
ブライアン・デパルマの作品は他もこんな感じなのか? と思いながら、その後、映画館で観た『アンタッチャブル』は、そうでもなかった。
あれは壊しようがないから、仕方ないけど。