風呂に浸かりながら子供の頃の冬を思い出していたら、
ちょうど『続・夢千代日記』がNHK BSで再放送されていたので、
見入ってしまった。
ドラマの舞台は、山陰地方の小さな温泉街。
今日放送された「続」の第一回の終わりには、その冬初めての雪が降った。
旅館とストリップ小屋などを舞台にして、
それぞれの部屋の中に灯る薄暗い蛍光灯の明かりが、とても寂しい。
僕が幼少期に過ごした昭和の時代の田舎での、冬の夕暮れを思い出す。
居たたまれない記憶がよみがえるが
消すことには躊躇する。
時代を進めようとするたび、世間は侘しさや寂しさを見ないようにする。
僕の記憶に残された昭和の風景は、
今の時代には否定されるものが、ほとんどだろう。
おそらくこの先、再現されることはないし、
たぶん、できないと思う。
実態がないものは、何の姿かたちも残らない。
それは当たり前の話だ。
今の人はそうやって理屈を言って、済ましてしまうだろう。
だけどね、きっとあるんだよ。
どんな時代がやってこようとも。
ノスタルジーとは一見人を豊かにさせるように見えて、
一人ぼっちにさせる。
冷静に考えれば、
言葉で全てが伝わるはずはないのだ。