白は、見たい画を際立たせる。
美術館の壁、画集の余白。
そして、雪の白は、目の前にいる人を舞台の上の人にさせる。
植田正治の砂丘だって。あれは、舞台装置。
砂丘がなければ、植田正治の写真が、あのようなものにはならなかったろう。
自然が作った、舞台装置。
自然は、日常であり、非日常。
地震で荒れてしまった土地は、
とてつもなく意味の在る、人が目を見張る「特別の風景」になってしまった。
どれほどのレンズが、その風景に向けられただろう。
白は、無。
僕が子どもの頃、白一色の雪の風景は、冬の日常だった。
連日、降り続く雪。
閉ざされる世界。
あの頃、遊びと災害は、同居していた。