写真集を作っている。
今は製本の作業に場を移し、近々完成することになっている。
ただし気になることもある。
それは実際の「物」としての写真と、印刷された写真との「違い」を自分の中でどう解釈すれば良いのか、というジレンマである。
最近僕はこの関係を、音楽の場合でいう「スタジオ録音」と「ライブ演奏」という関係に当てはめて考えている。
ゆらゆら帝国の『星ふたつ』という曲。『ミーのカー』で聴いたスタジオ録音は、レコードでいうところのB面の4曲めのつなぎの曲くらいの感じで「それらしい雰囲気」の曲ぐらいに聴いていたのだけど、2009年のライブのDVDで1曲めに演奏されたこの曲は、とても耳に入ってきて、まるで印象が違う。
ゆらゆら帝国はそんな意味で両方楽しめることが多い。
「スタジオ録音」を「ライブ」で再現・・・ではなく、「スタジオ録音」と「ライブ演奏」の違いを意図して楽しめれば良いな、面白いな、と写真に関わって、そんなことを自分で思えるようにしたいなと、僕は願っている。
ただし「ゆら帝」の坂本慎太郎にも曲によって好き嫌いは絶対に生まれてきていただろうし、だからこそ飽きないように手を替え品を替えでやっていたのだろうと思うし。
最初は宝の山だったものが具体的に形になっていく詰まらなさを、どうやって乗り越えるのか。
なんていうか、自分は才能に見放されながらも、それなりの意思があってというか、止むに止まれずに写真を続けてきたのだけど、いつかは自分が面白いと思える何かが自分の中からゴロンと出てきて欲しいと願っている人間でもある。
そういう時に、うろたえ、臆病にもなり、という病はもはや長年の持病となって、つける薬などこの世に存在はしないのはわかっているのだが、やらないよりはやる方はこの世を楽しめるのも事実なのである。
というわけで、僕の写真集と展覧会は、多少内容を変えることにしています。
結構、違うかもしれません。
本と展示、どっちが楽しいかは、日によって変わります。
迷ってばかりです。