日な日な余波ははなやか歩く

週1~2回くらいのペースで、ここで写真展をやってます。「繰り返し」と「凡庸」は写真と人生の本質です。

平野太呂「東京の仕事場」



人見知りな上に、口下手な僕は、自然、コミュニケーション下手である。

物心がつきだした頃から、そんな時間を過ごして来た僕には、現在もその性格に、往生している毎日だ。
それは、本当につらいことで、そこから生まれる罪悪感に落ち込むことも多い。

このことを、こうして文章にするのも、本人にとっては抵抗あることで、自分のがんばりが足りないからという思いが先にたつからこそ、自己嫌悪にもさいなまれるし、どうしてよいか? どこから対処してよいか?も、わからなくなってしまう。悪循環である。

仕事が終わって家に帰る。
家は居心地のよい場所。そうすると、自分の中での作業をするのはよいのだけど、人と関わる電話やメールは、どうしても億劫になってしまう。調子のよいタイミングに合わせて、えいヤッと済まさないといけない。

用事を済ませて、精神的にも身体的にも、自由な時間。
最近は早朝。

夜は1日の時間の溜まった何かが、自分の中をドロドロしてて、どうも集中できない。
寝る前に何をどうするか、ちょっとした課題を自分の中で出しといて、寝てる間、無意識ながらも、気が向く方向に想いをめぐらしとく。
そして、早朝、目が覚める。目覚まし時計はつかわない。
自然に目が覚めて、現在時刻を確かめて、もう起きてもいいか、で起きる。
それが、だいたい午前5時くらい。

そして、自分の仕事にむかう。
朝だから、自分の中身はすっきりしてるし、外から余計なものは取り入れないで済むし、たった1時間だけでも、それなりにコトははかどる。

とくに、自分の写真を編集すること。それは冷静な頭で判断しなければいけない。
「こうしたい、でも、つじつまが合わない」
「見た目はいいが、方向が違う」
「方向はいいけど、地味ではないか」
など、自分の中の堂々巡りのことは、どうやったって時間をおかなければならなくなる。

今夜のところはひとまず、こうしとこう、そして、明日の朝、どう自分の目に写るのか、また確かめてみよう・・・・・そんなくり返しで、ひとつの作業にはさほど時間を要さないわけだから、早朝の時間というのは、とても有効なのである。

そこで、時間とともに、もうひとつ重要なのは「場所」。
居心地がよくて、すぐに作業に取り組める場所。それは、確保しておく必要がある。
すると、当然、そこはそれなりに整理するし、必要なもの、好きなものを見えやすく、順序よく、使いやすく、方向づけることになる。

そうできたら、それは、とても楽しいこと。
平野太呂氏の作った本『東京の仕事場』は、そんな意味で、見てて気分がよい。

都築響一氏の『TOKYO STYLE』や『賃貸宇宙』なども好きだけど、ことらは物件や生活写真とは、またちょっと違う撮り方。
この本の場合は、仕事場としての空間だから、そちらに焦点を合わせて、画面を構成している。
もっと見たいけど、全体的にはおさえ気味の見せ方。そこがそそる。

個人的には、細野晴臣さんの仕事場が載っているのが、購入の大きなきっかけでした。
平野さんの文章も、心地よいです。




東京の仕事場 WORKSPACE IN TOKYO (カーサブックス)

東京の仕事場 WORKSPACE IN TOKYO (カーサブックス)

TOKYO STYLE (ちくま文庫)

TOKYO STYLE (ちくま文庫)