今は、真夜中の午前2時。
外は風が音を立て、雨がざあざあと降っている。遠くで雷の音も聞こえてくる。
書きたいことは、何も見つからない。
あったはずだけど、今書くと嘘になる。
真夜中の時間は不思議だ。妙な心境になる。不安がつのる。
壁の向こうには家族がいるのに、自分の周りには誰もいない気分になる。
世界で、ひとりぼっちの自分。
この心境は僕のことであって僕のことではない。
日常には闇がある。人には闇がある。
さっきまでは無くても、今の瞬間にはボンヤリと見えている。
たぶんそこには、子供の頃から感じた切なさも混じっている。
不思議な闇。しじま。
次の朝には無かったように忘れる。いつまでも付き合いきれない。
忘れようがない事実もある。
失った人や時間は、どうにもならない。
でも人は他の動物のように、それを自然の中に葬り去ることもできない。
人には他の動物にはないものがある。
南方熊楠曰く、人には心あり。
在るは無い。
無いは在る。
どちらも、見てとれる。
そういうものを目に見える形にするのは、案外無駄な事でもない。
事実、それはある。
考えてみれば、人の世界は初めからそれでできている。